どうもハルです!!
僕はステロイドをただ処方するだけで特にステロイドの説明などが少ない上に薬を減らす気もない医師に嫌気がさして脱ステロイドを行いました。でも思い出してみると高校生の時通っていたクリニックで一度プロアクティブ療法を指導されたことがあります。
しかし僕はステロイドが怖い薬と言う事をなんとなく知っていたのであんなにたくさんの薬を肌に塗り込んでくる先生を信じることができず、そのクリニックを辞めてしまいました。
それから脱ステに至った訳で、漠然とプロアクティブ療法は良くない治療と考えていました。
今色々アトピー治療と向き合う中でわかった事はプロアクティブ療法で寛解を維持できている患者さんも多くいるという事です(現在4人取材した方で中程度以上のアトピーと思われる方でプロアクティブ療法で寛解維持している方はいませんこれも取材の中で本当にプロアクティブ療法で改善した方がいるのか確かめたいです)。
ですので今一度プロアクティブ療法はどのような治療法なのか知る必要があり、まだステロイドは怖い気持ちはありますが、治療も考えないといけないと思いました。
プロアクティブ療法を行う上で重要なのがTARC値です。
ですのでTARC値を説明した上でプロアクティブ療法の説明をしていこうと思います。
※あくまで参考です。ステロイド薬は医師の指導の元、使用してください。
TARC値
TARC値って??
TARCはアトピーの重症度を測定する検査です。
TARC値はリンパ球の一つであるTh2細胞を局所に引き寄せ、アレルギー反応を亢進する事でアトピーを悪化させる物質です。だからアトピー の重症度を測ることができるようです。
Th2細胞って何??
アレルギー反応を亢進する物質。
T細胞がインターロイキン4(IL-4)やインターロイキン13(IL-13)などの刺激を受けることによりTh2細胞となる。
デュピクセント(最近出た新薬)はIL-4とIL13の働きを抑えます。だからデュピクセントは良く効きます。
※インターロイキン(IL)とは免疫系に関わる物質の事で発見された順番に番号が付いている
基準値は??
基準値はこのようになっています。
健常者含めTARC値は0歳から2歳になるまでに値がかなり下がるのが一般的なようです。この値が大人になって下がらない、もしくは大人になって何かのきっかけで上がる人がアトピーなのでしょうか?
健常者基準値 | ||
小児 | 6カ月~12カ月 | 1367未満 |
1~2歳 | 998未満 | |
2歳以上 | 743未満 | |
成人 | 450未満 |
アトピー性皮膚炎の重症度の目安 | ||
小児 (2歳以上) |
760未満 | 軽症 |
760以上 | 中等症以上 | |
成人 | 700未満 | 軽症 |
700以上 | 中等症以上 |
どれぐらいで結果が出るのか?
一週間で結果が出るものや17分で結果の出る測定器もあります。病院によって違います。
TARC値を測るメリット
注意点
- 苔癬化(皮膚のキメが粗く硬くなる)の強い慢性的な皮疹が長期間慢性的に続いている場合にはTARC値は反応しないようです。
- TARC値が低くても症状が酷い場合もあるので注意
- TARC値は変動していくものなので一回測るだけでなく、なんども測る事でどのくらいの症状の時にTARC値はどれぐらいかなど、患者自身が自分のアトピー状態を知る為に必要である。
- 初診でTARC値がすごく高い患者さんでも長期寛解状態を保てたり、初診でTARC値が一万以下であっても寛解を維持できない時がある。
TARC値が上昇するその他の疾患
薬疹、紅皮症、自家感作性皮膚炎、水疱性類天泡瘡
課題
- 現在TARC値の測定は月一回までとされています。しかし治療初期(プロアクティブ療法の際)においてTARC値は非常に治療の参考になるそうで、最初だけ週一回で測定すべきだそうです。ですのでこれからTARC値は月一回から初期のみ週一回で測ることができるように変わってくるかと思われます。
- TARC値はアトピー以外の疾患の指標ともなる為、アトピー以外の疾患への活用も課題とされています。
プロアクティブ療法
プロアクティブの一般的な意味
プロアクティブという言葉はビジネスで使われる英語です。
プロアクティブは、消極的の反対の意味です。Being proactiveとは絶対にやらなければならない状態になる前にそれをやることです。
アトピー でのプロアクティブ
この意味をアトピー治療に置き換えると、炎症が悪化する前(見た目は綺麗でも見えない炎症が残っている時がある。それはTARC値も判断材料にする)にステロイドで炎症を抑える。という意味になります。
最初にステロイドを毎日塗り、一気に炎症を鎮めます(炎症がほとんどなくなるまで)。これを寛解導入と言います。寛解導入した後で肌に炎症はないように見えても週二回などステロイド塗ることで悪化するのを防ぎます。この時の見えない炎症はTARC値を判断材料にするようです。
アトピー 性皮膚炎診療ガイドラインでは?
アトピー性皮膚科診療ガイドライン2016年版には次のようにあります。
再燃をよく繰り返す皮疹に対して、急性期の治療によって寛解導入した後に、保湿外用によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を定期的に(週2回など)塗布し、寛解状態を維持する治療法である。
プロアクティブ療法での注意
アトピーでは正常に見える皮膚でも小さな炎症が残っており、再び大きい炎症を起こしやすい状態の事があります。小さな炎症が残っている状態ではTARC値が正常値まで下がっていない事が多いそうです。
ですのでTACR値を見ながら診療を行う事で治療がうまくいくと思います。しかし、TARC値を17分で測ることのできる測定器はまだまだ多くの皮膚科で導入しておらず、結果が出るのに1週間ほどかかるのがまだまだ一般的のようです。
最後に
今日はTARC値とプロアクティブ療法についてまとめました。アトピーの治療はプロアクティブ療法、脱ステ、紫外線療法、シクロスポリン、ステロイド内服、デュピクセント、抗ヒスタミン薬、漢方など様々あり、またそれに食事療法などが加わり、非常に選択肢は多いけれど誰もが完治を目指せる治療はまだありません。ですので取材をする中でもっと知識を増やして、どのような人がどんな治療を行っていて、どんな傾向があるのか少しでも掴んでいこうと思います。
今日は長くなりましたが、読んでくださってありがとうございます!!
参考
TARC値
TARC説明↓
Th2細胞↓
TARC値基準など↓
プロアクティブ療法
プロアクティブ意味↓
プロアクティブ療法積極的に行っている医師による座談会↓
同じく座談会↓